和尚さんのお寺のに入ると、五輪卒塔婆供養塔(ごりん・そとば・くようとう)を置いています。
五輪卒塔婆供養塔(ごりんそとばくようとう)は、ご覧の通り、五種類の異なる形をした物体を合わせて作られています。
五輪の意味は、下から「地」「水」「火」「風」「空」です。
「地水火風」は、物質の四大元素の意味です。
「地」は、物質の硬性、硬い要素を、四角形で表現しています。
「水」は、物質の水性、うるおい、湿気、水分要素を、円形(丸)で表現しています。
「火」は、物質の熱性、熱い、冷たい、温度、熱の要素を、台形で、表現しています。
「風」は、物質の変容性、流動性、物質が変化する要素を、半円形で、表現しています。
化学でいうとろこの、四大元素のことを意味しています。これらは、本式の文字表記としてシッダン文字(梵字)を使うのが一般的です。「キャ=地」「カ=水」「ラ=火」「バ=風」「ア=空」
密教を伝えてきた尊者達は、人の身体を含めて、一つの物体の構成要素を、誰が見ても理解できるように表現されていますから、現代の化学知識が登場する大昔に考えられた尊者達の智恵には、驚きますよね。
五輪塔の「空」ですが、最後の形は「宝珠(ほうしゅ)」と言います。これは、「最上の智恵」「最も優れた知恵」という意味ですから、仏教が伝える「最上の智恵」は、お釈迦様の頭の中の智恵のことを示すわけです。
五輪塔の一番上の「空」である「宝珠(ほうしゅ)」の意味は、「常ならず」「我あらず」と仏教用語で表現しますが、「四つの元素で成り立つ人間の身体を含め、形あるもの全ての物は、永続することはなく、そこに不変の本体というものは存在し得ない」という意味が込められていると言うとわかりやすいかもしれません。
五輪塔の一番上につく、「宝珠(ほうしゅ)」が、五輪塔を総括する意味を担っているのです。
五輪卒塔婆供養塔(ごりんそとばくようとう)は、亡くなった方の舎利を納める、お墓の意味と役割を別にして考えられるとよいでしょう。亡くなった方の「舎利=骨」を用いずに、お釈迦様の伝える「世の真実、真理」を、供養塔の前で、手を合わせてくれる方に対して表現しているのです。
和尚さんは、読者の方へ、五輪卒塔婆供養塔(ごりんそとばくようとう)について、わかりやすく伝えたいです。
「尊く、愛しく、生きた一人の人は、確かにこの世に存在し、私と接してくれました。ですが、あたなを含め、どのような人でも、父も、母も、妻も、夫も、兄弟も、姉妹も、友も、敵も、仲間も、いつか必ず命を終えて、その身体を離れるものだと教えてくれました。この悲しき、つらい、必然の道理は、確かにお釈迦様の伝えるとおりであります。形あるものは移り変わりゆき、どれだけ愛しくても、いつまでも常に永続するものではないがため、生きていた全ての時間は尊かったのです。私はここに、五輪卒塔婆供養塔(ごりんそとばくようとう)を建て、あなたが、その身をもって、精一杯生きて、「常ならずところの、生きる尊きことを」の素晴らしいお釈迦様の教えを伝えてくれたことを尊び、敬い、私のこの上のない思いで、あなたを供養いたします。」
このような素晴らしいお釈迦様の道理を伝えてくれている、弘法大師空海ら尊者達よ
ありがたや