和尚さんは考えました。
ユーラシア大陸中央部に広がる世界最大級の高原、チベット高原には、チベット人達が信仰する仏教、「密教(みっきょう)」が色濃く伝わっています。
「密教」とは、お釈迦様の頭の中の覚りの内容を、非常に高度な知識で、緻密かつ微細に伝える極めて崇高な仏教の一部です。その「密教」は、弘法大師空海の一人の偉大なる労力によって我が国、日本に伝わっています。
「密教」は、梵字(ぼんじ)という「シッダン文字」の他、『経典』、仏具、仏画、仏像を多様に引用して、修行者と信奉者を仏陀の覚りへいざなっています。
「密教」では、仏陀の覚りの内容を、人間が発する言葉による力で色濃く伝える特徴上、人間が発する文字と、音声による「言葉の力」の優位性を伝えているのです。
とりわけ、「潅頂(かんじょう)」という儀式を通じて、偉大なる尊者達の教えを受け継いでいる僧侶達が発する文字や、音声による言葉の力を、無尽の力を発揮することから「法力(ほうりき)」または、「功徳(くどく)」などと表現しています。
「密教」を信奉する仏教徒達は、梵字(ぼんじ)=「文字」と、「音声」から生じる仏陀の偉大なる知恵の力「法力=功徳力」を借りて、覚りを得ようと「修行」ある生活と共存をします。
チベット仏教の信仰者達は、「修行」ある生活と共存するため、生活の隅々にいたるまで、仏陀の智恵に触れる生活を営む特徴があります。
例えば、滑車の形をした「摩尼車(まにぐるま)」という仏具を例にとると、お経の一部を「梵字」で刻まれた滑車(かっしゃ)を手で一回転、回すだけで、『お経』を全て読んだ功徳(効能)があると伝えられています。
他に、お経を文字で写す「写経」も同様の功徳(効能)がありますが、チベット密教では「タルチョー」という名前の、五色の「旗(はた)」に、シッダン文字(梵字)でお経を書き写す「信仰の習慣」があると言われています。
五色の旗に、シッダン文字(梵字)でお経を書き写した「タルチョー」の功徳は、その「タルチョー」の下を通ると、「タルチョー」に書き写された「お経」を一度読んだ同じ効能(功徳)があることから、チベット仏教徒達の、仏教への篤い信仰が伺えます。
閑話休題
このほど、興法精舎では、「密教」が伝える「功徳を積む方法」を引用し、五色の「のれん」を製作しました。
五色の「のれん」の下を通る度に、誰もが仏陀の覚りと、弘法大師空海の智恵の功徳が得られるよう、五色の「のれん」を新調いたしました。チベット仏教でいうところの「タルチョー」の伝える功徳と同じ意味です。
興法精舎では、五色の色の意味を、次のように配置しています。
【五つの色】
黒=お釈迦様、弘法大師の髪の毛の色
白=お釈迦様、弘法大師の歯
赤=お釈迦様、弘法大師の血の色
黄=お釈迦様、弘法大師の衣(袈裟)
青=お釈迦様、弘法大師の頭の中(智恵)
【五色「のれん」の奉納】
「五色のれん」を布施した施主の(株)舟山農産代表、舟山賢治氏は、真言宗の開祖である弘法大師空海さんの供養の為に奉納されました。
縫製は、眞弘寺檀家さんである装飾デザイナーMIYUKIさんによるもので、亡くなられた親族供養の為です。
「のれん」に通す「竹の棒」と、壁にフックを取り付ける「奉納作業」は、眞弘寺檀家さんである(有)安保建設の社長によるものです。強い風が吹いてもズレ落ちることがなく、竹棒のため軽くて丈夫です。
三人の檀家さんにより施された「五色のれん」は、3月9日(火)に居合わせた檀家さんと共に、供養奉納のお経を唱えました。開眼供養(かいげんくよう)と言いまして、一般的にわかりやすく表現すると「魂入れ」です。
「五色のれん」の生地は、「麻(あさ)」を使用しています。旭川市内の繊維会社で、和尚が色や生地質を選び仕入れたものです。色、風合いともに上品でよろしいかと思います。
興法精舎にお参りの方には、五色の「のれん」の下を通る度に、お釈迦様と、弘法大師の智恵の功徳を頂いてください。
偉大なるお釈迦様、弘法大師空海、尊者達よ
ありがたや