『護符(ごふ)』とは真言や読経で祈祷された札を意味し、または御守りという単体の意味もあります。
祈願された糸を『護符糸(ごふいと)』と和尚はここで呼びますが、『護符糸(ごふいと)』「おまじないの糸」または「魔除け糸」とも言えばわかりやすいでしょう。
スリランカでお寺参りをすると、お坊さんから手首に、おまじないの糸『護符糸』を巻いてくれます。どのお寺でも巻いてくれます。なんなら道行く僧侶に『護符糸』をくださいと頼めば巻いてくれます。
おまじないの糸『護符糸』はシンハラ語で「ピリットヌーラ」と呼び、スリランカ仏教徒の間では最もポピュラーな仏教徒シンボルでもあります。そのため護符糸は、スリランカ観光旅行の定番と言っていいほどの観光客の思い出作りにもなるでしょう。
『護符糸(ごふいと)』がスリランカ仏教徒に親しまれている理由は、スリランカの国史『マーヴァンサ』から知ることができます。
国史『マハーヴァンサ』によると、スリランカという国と人種はインドベンガル地方より航海で渡来した、ヴァンガ王族に由来があります。
ある日、ヴァンガ王の妃スシーマーが、ライオンに拐かされて、挙げ句の果てにはライオンは誘拐したスシーマー妃との間に、シーハヴァーフとシーハシーヴァリーという名の二人の人間の子を産ませます。
その孫の世代にヴィジャヤという青年が生まれました。その青年ヴィジャヤが、いろいろ紆余屈折して(ここでは話を省略)、スリランカへやってきたのがスリランカという島の人間文明の始まりとなります。
青年ヴィジャヤ(ライオンと人間の間に生まれた孫)がスリランカへ到着した時に、インド大陸の神であるヴィシュヌ神と共に来たサッカ(帝釈天)が修行僧の姿になって化けて現れ、「あなたが無事安全に危害なく過ごせるために、まじないの糸を手首へ巻いて差し上げましょう」と言って修行僧の姿に化けて現れていたサッカ(帝釈天)がヴィジャヤの腕に糸を巻きました。
それが『護符糸(ごふいと)』です。
そして実際に、『護符糸』のおかげで、元々島に住み着いていた人食い鬼夜叉女(ヤッキニー)から命を狙われても助かったという話へ続いていくのです。
ちなみにスリランカという国名は1972年(昭和47年)に制定された名で、国史『マハーヴァンサ』に出てくる最も古いスリランカの国名は「タンバパンニ」です。
ですからスリランカの国史『マハーヴァンサ』(パーリ語表記本)を読むと、タンバパンニという単語が随所で使われています。
意味は「赤い銅色の手」で、青年ヴィジャヤが初めてスリランカの砂浜へ上陸した際、空腹と疲労で砂浜に倒れた。そのとき手についた土砂の色が「赤い銅の色」だったのでタンバパンニが最初の地名(国名)なのです。
スリランカの人のうち、シンハラ人がライオンの末裔とか、国旗にライオンを用いてる理由も全ては、これらに起源があるのです
ということで『護符糸』がスリランカ仏教徒の間で「おまじないの糸」とか「魔除け糸」と信仰している理由をおわかりいただけたことでしょう。
和尚のお寺にも『護符系』はあり、いつでもどこでも持ってますよ。
もしもどこか町で和尚を見かけたり、偶然に会ったら気軽に「和尚!糸ちょうだい」と言ってみてください。いつでも巻いて差し上げましょう!
しかも効果抜群!守護パワーめちゃ効くよ!