◆連続掲載「精舎建立記」


予定されている精舎建立の正式契約は、図面内容と価格確定に時間を、もう数日要す。

正式契約後は、数日を開けて速やかに『土公供』と言われる地鎮祭に入る。

==聖なる土砂分別==

●スリランカ仏跡地の「土砂」と、宝舎利の、分別用意。
昨年、スリランカ、アヌラーダプラ巡礼にて、正式に得た土砂。その内、重要なのが、「スリ・マーハー菩提樹」と「アバヤギリ大塔」での土砂。

いずれも鉱質上では、たんなる土砂であって。一握りの砂。

だが普通の砂ではないのは周知の報告通り。

●スリ・マハー菩提樹(アヌラーダプラ)
アショーカ王の娘、サンガミッター尼僧が、インドのブッダガヤから手ずから持ち運び、植樹されたスリランカで初めての菩提樹は、スリランカ仏教の起源である。スリランカ国中の信仰と、国土を守る十の方角の神々が守り集合する地でもある。日本でいうところの、国定地「国宝」。

厳重な場所は厳重に24時間、僧侶が立ち入り、雨風、暴風雨は関係なく守られ、入ることができる僧侶は「比丘」と呼ばれる立場の僧侶のみ。守り手の一般男性信徒も特別な覚悟がある。

なにげない一つまみの砂でも、あたかも観光旅行の記念感覚で簡単に持って帰ろうということは決してしてはならない。条件を満たさないで無許可で一粒でも持ってくると、大きな災いとなり身を破滅する。

私は、この地に呼ばれるまで10年かかり、先輩僧も10年以上だ。行けるから行くのではなく、信仰の感覚上、呼ばれて行く。

私たち巡礼団は、早朝に身体を洗い、所轄の寺と住職に山ほどの供物をお供えして恭しく懺悔。訳を述べて、正式に参拝の許可をもらい、身なりも整えて参拝した。参拝時に手に握った一握の砂は、菩提樹を守る「神々から与えられた砂」である。直ぐに容器に収め、頭上に載せて菩提樹を後にした。

●アバヤギリ大塔(アヌラーダプラ)
密教の経由地でもある。大乗仏教が大いに栄え、スリランカ仏教伝道の歴史上、重要な繋ぎを果たした偉大なる土地である。
かの金剛智三蔵、不空三蔵も、この地で修練され、潅頂も行った記録がある。シッダン文字で「宝篋印陀羅尼」が彫られた石碑もあり、仏塔前の博物館には、不空三蔵がお使いになられたであろう、五鈷金剛杵も展示されている。

私たち巡礼団は、菩提樹の後に訪れ、供養、読経、礼賛を繰り返した。大塔のレンガが風化して吹きだまりとなり、清掃時に捨てられる粉塵の山から一つまみ。また、大塔に手でなでて深々を布教の歴史と徳を感得した際に手に付着したわずかな砂を、合掌と礼拝を繰り返し、口に真言を唱え、尊者達、弘法大師の足跡功徳に敬意を表し頂いてきた。一握でも貴重だ。

いかにして手にできたか。拝啓、島の神々よ。と、恐れながら頂くものである。一行は、ひとつまみの砂でも、喜び一杯で幸せに満ち足りた。動機と手段が最尊であると喜んだものだ。

これらの土砂の以外に数カ所あるが説明は内容が重複するので省く。
また、アヌラーダプラ以外の聖域の土砂もあり、重要な宝石の中には「ニマールの宝石」もあるが、別記事にて紹介する

●休題
さて、今日の作業は、これから建てる寺の地中に埋める砂と、屋根上に作る小さな仏塔の中に納める砂。を分けている。

ガラス製の小さな容器に入れれば、何年経過しても風化することはない。
ここに土砂が埋まれば、スリランカ仏教徒にとっても参拝に適した場所となり、スリランカ仏教徒の帰依する心の拠り所となる

寺を建てるとは、気が遠くなるような努力と、繊細な準備が必要なものだ